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旅の途中

旅の途中

11月24日

前略
お元気ですか。僕は元気です。最近、僕は母ちゃんにかけた苦労を考えています。
父ちゃんと、僕の前で お京(継母)の屈辱を黙って聞き、僕を引き取ってくれた母の気持ち。僕が何度も家出をして、母ちゃんの夜の仕事をダメにしたこと。その時かけた迷惑、
そして施設に入って淋しい思いをさせたこと。それでも夜の仕事を続けていた母の苦労。
吉田(旧婚約者)に受けた精神的暴力、そしてサンタマリア(母子寮)でも夜の仕事を
続けていたこと。朝方になって、酔いつぶれて帰ってきたこと。遅い時は夕方に帰って来て、あまり寝ずにまた仕事へ出て行ったこと。僕はいつも、母ちゃんが夜仕事に行くたびに、夜遊びもし、友達を家に入れ、悪さをしてきたこと。
中学に入り、家に帰らなくなり心配をかけたこと。いつも僕の携帯や友達の留守電に
母ちゃんの悲しそうな声や泣き声で帰ってきなさいと 入っていたこと。何度も警察の
世話になり、家に帰り、足で「親!!」と言いながら、寝ている母ちゃんを起そうとしたこと。
その他数え切れない母への苦労、心配、迷惑、本当に申し訳ないと思っています。
そして今まで 色々とあったけど、母ちゃんに引き取ってもらって本当に良かったと
思っています。母ちゃんは今まで十分辛い思いをしてきました。もちろんこれからも
心配かけたり、傷つけたりすることもあると思いますが、これからは母ちゃんの人生に
花を咲かせます。
話は変わりますが、最近少年院では色々な人が講話に来てくれます。交通事故で息子を
亡くした父や、オリンピックで金メダルを取った山下さんです。相変わらず、ここでは
色々と大切なことを学んでいます。
息子をひき逃げ事故で亡くした被害の方の講話を聞いて、てとも残酷なものでした。
僕達、加害者は事故を過去のものにして、今の現実からどうにかして逃れ様とします。
しかし被害者は現実に今もずっと、そしてこれからも苦しく、残酷な日々を送って現実や
真実と戦って、目をそらさずに生きていかなければなりませんし、そういう人たちが
世の中にはたくさん居ます。加害者としては、人の痛みを感じて生きていくべきだと思います。
新聞などを見ていると、親をバットでなぐる少年や、誰々の遺体が何処何処で発見など・・・。
とても悲しい出来事がのっています。加害者はきっと金欲しさや、自由欲しさで そういった自分の都合、軽い気持ちなどで、僕達と同じ様に犯罪を犯して、殺しにまでいたったのだと思います。そして僕達も一歩間違えれば殺人にまでいたったかもしれません。
そういう自分の都合の良さ、愚かさがイヤになります。僕はもっと家族に目をむけるべきでした。離婚、暴力など家庭問題が起こってる中、淋しく、辛い、そういった感情におぼれている母に対して、とどめをさすように僕は母を泣かせてきました。僕の見てない所で
どれだけ一人泣き、その内を明かす人がいなく辛かったことか。全ての気持ちは理解できないかもしれないけど、そういう母さんの立場を考えると、今までの苦労が身にしみて
分かります。
山下さんは、人のことを人として見ることの大切さや、本当に強くなるということは素直な気持ちを持つということを教えてくれました。僕の社会当時と照らし合わせてみれば、母ちゃんに対して、大人だから出来て当たり前とか、母親だから~をして当然だとか、
そうして母のことを 人として見ることを忘れていました。
母ちゃんだって、母ちゃんなりの立場や辛い状況があるし、その状況を理解できず、
自分の都合だけで、母ちゃんにものを言って、本当にゴメンナサイ。出たら幸せにさせるからね。
話は変わるけど、最近手紙が来ないけど、何かありましたか。とても心配です。
もし無事なら、手紙一通でも下さい。それと僕は19歳になりました。何か19歳って
あっと言う間だねぇ。1日1日大切にしなくっちゃ。それでは最後になりますが、身体には
気をつけてください。
草々




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